医療事務として働きながら出産・育児を経験する、あるいはこれから考えている方にとって、「本当に両立できるのか」は切実なテーマだと思います。私自身、大学病院の医事課で22年働く中で2人の子どもを出産し、子育てをしながら医療事務を続けてきました。この記事では、自分の経験と、周りのスタッフを見てきた経験の両方から、医療事務と産休・育休のリアルな両立事情をお伝えします。
産休・育休の取得自体は珍しくない
大学病院のような比較的規模の大きな医療機関では、産休・育休の制度は整っており、取得しているスタッフも珍しくありませんでした。医療事務は女性の多い職場なので、「お互いさま」の空気があり、産休に入ること自体に肩身の狭さを感じる場面は少なかったように思います。復職後に時短勤務を選ぶ先輩もいて、働き方の選択肢自体はある職場でした。
ただし、これは職場の規模によって差があるのも事実です。スタッフ数が少ないクリニックでは、一人抜けた穴を埋めるのが難しく、産休・育休の取りやすさは職場選びの段階である程度決まってしまう面もあります。長く働くことを考えるなら、求人を見る段階で「産休・育休の取得実績」を確認しておくことを強くおすすめします。
復職後にぶつかりやすい壁
- 時短勤務でも、月初のレセプト締切など繁忙期は業務が集中しやすい
- 子どもの急な発熱などで休むことへの気まずさ
- ブランク中の制度改定(診療報酬改定など)へのキャッチアップ
特に医療事務ならではの壁が、3つ目の制度改定です。診療報酬は2年に一度改定されるため、育休で1年以上現場を離れると、復帰したときには点数や算定ルールが変わっている、ということが普通に起こります。「昨日までできていた仕事のルールが変わっている」という感覚は、他の事務職ではあまりない、医療事務特有の大変さだと思います。
子どもの発熱については、私の場合、夫と分担しながら乗り切りましたが、月初のレセプト期間に限って子どもが熱を出す、というのは子育て中の医療事務あるあるです。職場に子育て経験者が多いと、この点は本当に助けられます。
私の場合――正直、きれいごとでは済まなかった
ここからは、私自身の話です。私のいた職場は女性の多い部署でしたが、意外にも、出産・子育てをしながら働き続けている先輩は少数でした。一番上の世代の先輩方は、ご両親のフォローを受けられる環境で、産後3ヶ月ほどで復帰し、2年近く時短勤務をされていました。私の少し前の世代からは、育休を半年、10ヶ月と少しずつ長く取るようになっていき、時短勤務もみんなが使うのが当たり前になっていきました。
そんな流れの中で、私は子どもが1歳になる少し前まで、1年弱の育休をもらいました。ありがたい制度でしたが、周りより長く休んだぶん「復帰後はさらに時短勤務で」とは言い出せない雰囲気があり、復帰したその日からフルタイム勤務、もちろん残業もしました。私も夫もお迎えに行けない日は、私の両親にお願いして乗り切りました。
2人目のときはコロナ禍と重なり、22時近くまで働く日が続きました。この時期は毎日、夫にお迎えを頼んでいました。いま振り返っても、あの頃は死に物狂いだったと思います。
この経験から伝えたいのは、「制度があること」と「制度を使える空気があること」は別物だということです。同じ職場でも、先輩と私とでは使えた働き方が違いました。今は当時よりずっと理解のある職場が増えてきていると感じます。だからこそ、これから職場を選ぶ方には、制度の有無だけでなく「実際に使っている人がいるか」まで見てほしいのです。
両立を続けるために意識していたこと
いちばん大切にしていたのは、すべてを完璧にこなそうとせず、「今できる範囲でやる」と割り切ることです。仕事も家事も育児も100点を目指すと、必ずどこかで無理が来ます。周囲に頼れる部分は頼り、繁忙期以外は定時で上がれるよう業務の優先順位をつける。それだけでも気持ちの余裕がだいぶ違いました。
復職前の準備としては、制度改定の概要だけでも事前に確認しておくと、復帰後の負担がかなり減ります。改定内容は厚生労働省の資料や医療事務向けの情報サイトである程度追えるので、育休の終わりが見えてきた頃に少しずつ目を通しておくのがおすすめです。
医療事務は「続けやすい」仕事だからこそ
大変さも書きましたが、それでも私は、医療事務は子育てと両立して長く続けやすい仕事だと思っています。全国どこの医療機関でも通用するスキルであること、パート・時短などの働き方の選択肢があること、そして経験がそのまま強みとして積み上がっていくこと。実際に私も、2人の子どもを育てながら22年続けることができました。
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まとめ
医療事務は制度面では産休・育休と両立しやすい職種ですが、繁忙期の業務集中や制度改定へのキャッチアップなど、現実的な課題もあります。完璧を目指さず、頼れるものには頼りながら、働き方を調整して続けていく。その視点さえ持てれば、医療事務は子育てをしながらでも長く続けられる仕事です。これから両立に挑む方を、心から応援しています。


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