レセプトとは?正式名称・意味・仕組みを元大学病院スタッフがわかりやすく解説

レセプト・診療報酬

「レセプトって何?」と聞かれても、うまく説明できない方は多いと思います。医療現場で働く人でも、実は正確に知らないことも。大学病院の医事課で22年間、レセプト業務を担当してきた私が、できるだけわかりやすく解説します。

レセプトとは?正式名称と意味

レセプトの正式名称は「診療報酬明細書」といいます。

病院やクリニックで受けた診察・検査・薬などの医療サービスを、点数(金額)に換算して記載した請求書のようなものです。

「レセプト」という言葉はドイツ語の Rezept(レツェプト) が語源で、「処方箋・領収書」を意味します。日本の医療業界に定着した専門用語です。

レセプト=患者さんが受け取る領収書とは別物

「病院でもらう領収書と同じ?」とよく聞かれますが、違います。

患者さんへの領収書レセプト(診療報酬明細書)
患者さんが支払った金額の記録医療機関が保険者に請求する書類
患者さんに渡す保険者(健保組合など)に送る
窓口で渡される毎月1回まとめて請求

なぜレセプトが必要なの?保険診療の仕組み

日本では、病院での医療費は患者さんと保険者(健康保険組合や国)が分担して支払っています。

たとえば3割負担の方なら、窓口で払うのは医療費全体の3割だけ。残りの7割は、病院が後から保険者に請求します。その7割分を請求するための書類がレセプトです。

保険診療の流れ(図解)

① 患者さんが病院を受診
② 窓口で自己負担分(例:3割)を支払う
③ 病院は残りの7割分をレセプトにまとめて保険者へ請求
④ 保険者(健保・国保など)が審査・支払い

この③のステップがレセプト請求です。月に1回、前月の診療分をまとめて提出します。

誰がレセプトを作って、誰に送るの?

作るのは:医療機関(病院・クリニック)

レセプトを作成するのは病院やクリニックのスタッフです。実務を担当するのが医療事務の仕事。私も22年間、毎月この業務を担当していました。

現在はほぼすべての医療機関が電子レセプト(データ)で作成・提出しています。私が勤務していた大学病院でも、紙から電子への移行を経験しました。

送る先は:審査支払機関 → 保険者

レセプトは直接保険者に送るのではなく、間に審査支払機関が入ります。

審査支払機関対応する保険の種類
社会保険診療報酬支払基金(支払基金)健康保険・共済保険など
国民健康保険団体連合会(国保連)国民健康保険・後期高齢者医療など

審査支払機関がレセプトの内容をチェックし、問題なければ保険者から病院へ医療費が支払われます。

レセプトの種類

レセプトには大きく2つの種類があります。

種類内容
外来レセプト外来(通院)で受けた診療の請求
入院レセプト入院中に受けた診療の請求

私が担当していたのは主に外来レセプト。内科・外科・小児科・眼科・心臓外科など9つの診療科のレセプト点検を担当していました。月に最大6,000枚を処理することもありました。

医療事務とレセプトの関係

医療事務の仕事の中で、レセプト業務は特に重要なポジションを占めています。

レセプト業務の主な内容

  • レセプト作成:診療データをもとにシステムで自動作成
  • レセプト点検:記載ミス・算定漏れ・請求誤りがないか確認
  • 返戻対応:審査機関から差し戻されたレセプトの修正・再提出
  • 査定対応:減額された請求への異議申し立て

点検の精度が低いと、請求が通らなかったり(返戻)、金額を削られたり(査定)して、病院の収入が減ってしまいます。そのためレセプト点検のスキルは医療事務の中でも特に重要とされています。

医療事務とレセプト業務の詳しい内容はこちらもご覧ください。

レセプト業務の基本・現場での確認方法

よくある質問(FAQ)

Q. 「レセ」って何ですか?

A. 「レセプト」を省略した現場用語です。「レセ点(レセプト点検)」「レセ業務」のように使われます。医療現場では日常的に使われる言葉です。

Q. レセプトは患者が見られますか?

A. 加入している保険組合や健保によっては、医療費のお知らせ(通知)として送られてくることがあります。詳細な明細が必要な場合は、病院の窓口で「診療明細書」を発行してもらう方法があります(無償交付が義務づけられています)。

Q. レセプト請求とは何ですか?

A. 医療機関が、診療にかかった費用(患者負担分を除いた部分)を保険者に請求する手続きのことです。毎月10日が提出締め切り日で、前月の診療分をまとめて電子データで送付します。

Q. レセプトはいつ作りますか?

A. 診療は日々行われますが、レセプトの提出は毎月1回、翌月10日までに前月分をまとめて提出します。月初から10日ごろにかけてが医療事務スタッフにとってもっとも忙しい時期で、「レセ月初」「レセ期間」などと呼ばれます。

Q. レセプトがよくわかりません。何から学べばいいですか?

A. まずは「診療報酬点数」の基本を学ぶのがおすすめです。医療事務の資格取得を目指す学習の中でレセプト作成・点検が含まれているため、医療事務の資格を取りながら学ぶのが一番の近道です。

▶あわせて読みたい:医療費はどうやって決まる?点数制度の仕組みをわかりやすく解説

まとめ

レセプト(診療報酬明細書)についておさらいします。

  • 正式名称は「診療報酬明細書」、ドイツ語が語源
  • 病院が保険者に医療費(患者負担分以外)を請求するための書類
  • 作成するのは医療事務、毎月10日までに提出
  • 審査支払機関を経由して保険者に届く
  • 外来レセプト・入院レセプトの2種類がある

レセプトは、日本の保険診療を支える縁の下の力持ち的な仕組みです。患者さんが安心して医療を受けられる背景には、こうした医療事務の仕事があります。

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