診療報酬請求事務能力認定試験は廃止。意味ない?経緯と代替資格を元大学病院スタッフが解説

医療事務の基礎知識

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「診療報酬請求事務能力認定試験が廃止になったって本当?」
「これから医療事務の資格を取りたいけど、どうすればいい?」

そんな疑問をお持ちの方へ。診療報酬請求事務能力認定試験は、2025年12月14日の第63回をもって廃止されました。30年以上にわたって医療事務の最高峰資格として知られてきた試験の突然の終了は、業界に大きな衝撃を与えました。

大学病院で22年間、現場スタッフとしても医療事務に関わってきた私が、廃止の経緯と今後おすすめの代替資格を現場目線で解説します。

診療報酬請求事務能力認定試験とはどんな試験だったか

何のための試験なのか

診療報酬請求事務能力認定試験は、公益財団法人日本医療保険事務協会が主催し、厚生労働省が後援した全国一斉統一試験です。1994年(平成6年)に始まり、医療機関でのレセプト(診療報酬明細書)作成に必要な知識・実務能力を認定するために設けられました。

診療報酬とは、病院やクリニックが患者に提供した医療サービスに対して、健康保険から支払われる料金のことです。1点=10円として計算され、診察・検査・手術・入院など、それぞれの医療行為に点数が決まっています。この計算を正確に行い、保険者に請求する書類がレセプトです。

この試験では、その複雑な算定ルールを正確に理解し、実際にレセプトを作成できる実務能力が問われていました。

試験の概要

医科と歯科のどちらかを選択して受験する形式で、学科試験(20問・5択マークシート)と実技試験(レセプト作成)を合わせて180分という実務直結の試験設計が特徴でした。診療報酬点数表その他資料の持ち込みが自由という点も、「知識の暗記ではなく実際の点数表を使いこなす能力」を問う趣旨を反映していました。

合格率は30%前後と、医療事務関連資格の中では最難関。年2回(7月・12月)しか受験機会がなく、全国17都市で実施されていました。

医療事務に関わった現場スタッフの評価(22年間の実感)

大学病院で22年間、現場スタッフとしても医療事務に関わってきた私が正直に言うと、この資格を持っている方は明らかに現場での立ち上がりが違いました。

レセプトの仕組みを理解している、点数表を見て算定できる、保険制度の基礎知識がある。こうした当たり前のことを最初から説明しなくていいのは、現場にとってとても助かります。

大学病院や総合病院では、この資格の有無が給与優遇や早期登用に影響することも実際にありました。それほど「信頼できる資格」として現場に定着していたんです。

なぜ廃止になったのか

少子化による受験者数の減少

2023年12月22日、主催の公益財団法人日本医療保険事務協会から正式発表がありました。廃止の理由として協会が挙げたのが、受験者数の大幅な減少です。

受験者の約60%を占めていた25歳以下・専門学校生層が、少子化・専門学校の縮小により激減。事業の継続が困難な水準まで受験者数が落ち込んだとされています。2010年代前半には毎回1万人以上いた受験者が、近年は数千人規模にまで減少していました。

医療DXの進展

もう一つの理由が医療DXの進展です。診療報酬の請求が紙レセプトから電子レセプトへ全面移行し、政府の「医療DX推進」「診療報酬改定DX」により、手書きでのレセプト作成能力を問う試験形式が時代の実務と乖離していったという背景があります。

実際、私が勤めていた大学病院でも、電子カルテ・電子レセプトの普及により、手計算でレセプトを作成する機会はほぼなくなっていました。

こうした受験者数の減少と医療DXの流れを受け、主催団体である公益財団法人日本医療保険事務協会は2026年3月に解散しました。試験の運営母体そのものがなくなったことで、診療報酬請求事務能力認定試験は名実ともに完全に終了しています。

合格済みの方・勉強中だった方へ

すでに合格している方

試験が廃止されても、合格の事実は消えません。履歴書への記載は引き続き可能です。

30年以上の歴史を持つ最難関資格として業界に定着していたため、当面はネームバリューが残ります。22年間の現場で多くのスタッフが入職するのを見てきた立場から言えば、この資格を持っている方を『それだけの勉強をしてきた人』として評価する現場の感覚はすぐには変わらないと思います。

勉強途中だった方

試験は廃止されましたが、学んだ内容は無駄になりません。医療保険制度・診療報酬の算定知識・レセプト作成の基礎は、以下に紹介する代替資格でも共通して問われる内容です。習得した知識をベースに代替資格へ移行することをおすすめします。

代替となる資格ガイド

簡単に3つの資格を紹介します。それぞれどれを選べばいいか迷う方向けに、選び方フローチャートと独学・通信講座の比較をこちらの記事にまとめています。

①医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)

主催:一般財団法人日本医療教育財団/合格率:60%前後/受験頻度:毎月

医療事務資格の中で最も受験者数が多く、認知度が高い資格です。外来・入院のレセプト作成、医療費計算、診療報酬請求業務の知識が問われます。

毎月受験できる利便性から、医療事務の入門資格として広く活用されています。まず資格を取って就職活動を始めたい方、未経験から医療事務を目指す方に最適です。

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②医科2級医療事務実務能力認定試験

主催:全国医療福祉教育協会/合格率:60〜75%/受験頻度:年複数回

廃止された認定試験に最も近い内容の実務型資格として注目されています。外来・入院レセプトの作成能力と診療報酬の算定知識を問う試験で、レセプト作成の実技を含む点で実務に直結した内容です。会場試験と在宅試験から選べます。

転職・給与アップを狙う方、レセプト実務の実力をしっかり証明したい方におすすめです。

③電子カルテオペレーション実務能力認定試験

主催:全国医療福祉教育協会/受験者数:増加中の注目資格

医療DXの進展を背景に注目度が高まっている、電子カルテの操作・運用能力を問う資格です。電子カルテが普及した現代の医療現場において、実際の業務環境に即したスキルを証明できます。

廃止された認定試験が問えなかった「デジタル時代の医療事務スキル」の証明として、今後ますます需要が高まることが予測されます。

目的別おすすめ資格

目的・状況おすすめ資格
未経験・まず就職したいメディカルクラーク®
レセプト実務の実力を証明したい医科2級医療事務実務能力認定試験
デジタル環境に対応したい電子カルテオペレーション実務能力認定試験
病院・大規模医療機関への就職を目指すメディカルクラーク®+医科2級の組み合わせ
クリニック・診療所への就職を目指すメディカルクラーク®

診療報酬請求事務能力認定試験についてよくある質問

Q. 診療報酬請求事務能力認定試験はいつまで実施されていた?

A. 2025年12月14日の第63回試験をもって終了しました。現在は新規で受験することはできません。これから資格を取りたい方は、後述の代替資格を検討しましょう。

Q. もう廃止されたなら、持っていても意味ない?

A. 意味がなくなることはありません。むしろ逆です。この試験は医療事務資格の中で最難関とされ、医療機関の採用担当にもよく知られています。廃止されたからといって、合格の事実や身につけた知識が消えるわけではありません。「もう取れない資格」になったぶん、保有者の希少価値はむしろ上がるとも言えます。

Q. 履歴書には今後も書いていい?

A. 書けます。正式名称「診療報酬請求事務能力認定試験(医科)合格」と記載しましょう。廃止後も資格の効力や評価が失われるものではないので、堂々とアピールして大丈夫です。

Q. 転職で評価される?

A. 評価されます。私が大学病院の医事課にいた経験から言うと、この資格はレセプト知識の証明として現場での信頼度が高い資格でした。特に病院のレセプト部門・医事課への転職では、実務経験と並ぶ強いアピール材料になります。

Q. これから医療事務を目指す人は何を取ればいい?

A. 目的によって変わります。本記事で紹介した代替資格3つの比較に加えて、医療事務の資格はどれがいい?種類と選び方で目的別の選び方を詳しく解説しています。

まとめ

診療報酬請求事務能力認定試験は、30年以上にわたって医療事務の最高峰資格として機能してきましたが、少子化による受験者数の減少と医療DXの進展を背景に2025年12月をもって廃止されました。

すでに合格している方の資格の価値は当面有効であり、引き続き履歴書に記載できます。

これから医療事務を目指す方には、メディカルクラーク®を入門として取得し、レセプト実技系の医科2級や電子カルテ関連資格を組み合わせることで、変化する医療現場に対応できる人材として証明できます。

私が大学病院の医事課にいた経験から言うと、資格はあくまで「入口」。大切なのは現場でどう動けるかです。でも、その入口をしっかり整えておくことが、スタートダッシュの差につながります。ぜひ自分に合った資格選びから始めてみてください。

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他の資格との比較はこちらもご覧ください。
医療事務資格の種類と選び方【22年比較】

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